カテゴリ:本( 8 )

『チョコレートコスモス』 恩田 陸

チョコレートコスモス
恩田 陸 / 毎日新聞社
「まだそっち側に行ってはいけない。そっち側に行ったら、二度と引き返せない。」
幼い時から舞台に立ち、多大な人気と評価を手にしている若きベテラン・東響子は、奇妙な焦りと予感に揺れていた。伝説の映画プロデューサー・芹澤泰次郎が芝居を手がける。近々大々的なオーディションが行われるらしい。そんな噂を耳にしたからだった。
同じ頃、旗揚げもしていない無名の学生劇団に、ひとりの少女が入団した。舞台経験などひとつもない彼女だったが、その天才的な演技は、次第に周囲を圧倒してゆく。
稀代のストーリーテラー・恩田陸が描く、めくるめく情熱のドラマ。
(Amazonの紹介文より)
『ガラスの仮面』を彷彿させる、このあらすじ。
ずーっと読みたいと思っていたのですが、やっと図書館から借りることができました。

劇作家の神谷、若きベテラン女優の東響子、学生劇団員の巽、三人の視点で話は進んでいきます。
この三人は物語の中盤になるまで接点をもたないので、読み始めはストーリーに入り込みづらいと感じました。
ですが、演劇というのはあらゆる能力の出会いによって成り立つ総合芸術、読み終えたあとは「だからこういう書き方になるのか…」と思いました。

オーディション課題「二人の登場人物で三人の芝居」「ブランチVS影のブランチ」のくだりは圧巻。
『ガラスの仮面』における『奇跡の人』や『二人の王女』のオーディションに匹敵する迫力です。
作中の他の演目も、読んでいて「実際に観てみたい~」と思わされるものばかり。
恩田さんの多才さがうかがえます。

出会いと葛藤――、生身の人間が作る演劇のおもしろさがつまった小説です。
舞台好きの方なら一読する価値ありかと思います。
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by yagikuro-3 | 2006-08-13 22:21 |

『天使のナイフ』(薬丸 岳)

天使のナイフ
薬丸 岳 / 講談社

今年の乱歩賞受賞作品。
“少年犯罪”“罪と贖罪”が主題に据えられた社会派ミステリーです。
張り巡らされた謎が解けていくごとに、主題についても深く切り込んで行きます。
被害者と加害者、その周囲の人々の思いが誠実に書かれていると感じました。
主題に対して一面的でないアプローチに好感が持てます。
主人公に関わってくる一見いい加減そうなライターもいい味出しています。

次回作が楽しみです。
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by yagikuro-3 | 2005-09-17 21:23 |

『しあわせのねだん』(角田光代)

しあわせのねだん
角田 光代 / 晶文社

支払うお金の基準、支払ったお金への感慨は、その時の価値観や経済状況を如実にあらわしているわけで。
費やしたお金がどう自分を形成していくのか――。
“値段”を切り口に書かれたこのエッセイ集、なかなかおもしろかったです。

母親との“最悪と言っていい”旅行話、我が家でも似たようなことがあったなーと苦笑い。
それもいい思い出です。
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by yagikuro-3 | 2005-07-26 19:11 |

『いつかパラソルの下で』 森 絵都

いつかパラソルの下で
森 絵都 / 角川書店
人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。
愛しても愛しても愛されなかったり、受け入れても受け入れても受け入れられなかったり。
それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることはできない――。
(本文より)

生きること、死ぬこと、両方にある切なさ。
皆、もがきながら完璧でない人生を生きている。
だからこそ、日々のよろこびや人とのつながりを大切していきたい。

『カラフル』の読後感と似ています。
森絵都さんの作品は、人生に対する目線は甘くないのにあたたかさがあります。
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by yagikuro-3 | 2005-07-22 19:15 |

『オフサイド』 塀内夏子

1987~1992年にかけて週間少年マガジンで連載されていた高校サッカーマンガ。

知人から借り、ここ数日もくもくと読んでました。
スポーツマンガを読むのは久々ですが、燃えました。熱い青春、いいですねぇ~。

主人公の五郎くんのスケールの大きさも魅力ですが、チームメイトや敵役もしっかりドラマが描かれているのがいい。
信じあえ、同じ目的を持つ仲間がいる彼らがうらやましい。

でも、いまだにオフサイドのルールがよくわからなかったりして……(-_-;)
サッカーのルール、私には難しすぎる……。

折りしもワールドカップ予選が山場。いい結果が出ますように。
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by yagikuro-3 | 2005-06-07 21:57 |

アメリカ人が作った「Shall we ダンス?」 周防正行

アメリカ人が作った「Shall we dance?」
周防 正行 / 太田出版

周防氏の冴えた観察眼でのレポート、作者としての心情、どちらも楽しめました。
映画ができ配給されるまでの過程と完成作から、アメリカの映画事情、日米の文化格差が見えてきます。

アメリカでのリメイク、シンデレラ物語のようにも思えますが、その裏にこれほどの苦労があったとは…。原作者であるにも関わらず、常にアメリカ側に振りまわさっれぱなしの周防氏サイド。日本映画の立場は、まだまだ弱いのですね。
アジア映画のリメイク権が、いくつもハリウッドに買われていますが、これらがいい形でリメイクされるのを切に願います(気になるところでは『インファナル・アフェア』に『イルマーレ』)。

オリジナル版のヒロインであり周防氏の妻でもある草刈民代さんが、プレミア試写会で「正ちゃん、凄い」と涙するところ、アクセサリーを持ってくるのを忘れたからと、しっかりティファニーで周防氏にアクセサリーを買わせるところ、微笑ましかったです♪
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by yagikuro-3 | 2005-06-05 20:33 |

『漢方小説』中島たい子

漢方小説
中島 たい子 / 集英社
ISBN : 4087747433

みのり31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良に陥る。さまざまな病院を巡った末、行き着いたのは漢方診療所だった。

観察力とユーモアがあふれる文章が心地よく、するすると読めてしまいました。漢方薬の効能と、漢方医や友人達とのあたたかい関わりがリンクして、じんわりと癒されます。

中島さんの日本テレビシナリオ登竜門大賞受賞作、女性教師と男子生徒のラブコメ「チキチキバンバン」もセリフのテンポがよく楽しい作品でしたが、こんなにおもしろい文章を書く人だとは知りませんでした。
この文体をじかに感じさせてもらうためにも、今後は文章のお仕事も増やしていってほしいと思います。

南伸坊さんの装丁も、すっきりさわやかです。
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by yagikuro-3 | 2005-05-22 21:08 |

文庫『10 minute diary』

北川悦吏子さん脚本のネットムービー『10 minute diary』を小説化した文庫本を見つけたので、購入しました。

一読。月刊ドラマ4月号に掲載された脚本の方が、女の子のモノローグが直球で伝わってきたかな。
三人称の地の文が入ると、客観性が出てしまうというか。

巻末の北川さんと総合監督の長尾直樹さんの対談では、今回監督デビューをした北川さんの苦労や葛藤、こだわりが語られています。これがなかなかおもしろい。
初めてだからこそ見えること、感じられることってありますよね。

10 minute diary テン・ミニット・ダイアリー
北川 悦吏子 / 角川書店
ISBN : 4041966221
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by yagikuro-3 | 2005-05-06 22:14 |