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北区つかこうへい劇団『売春捜査官-女子アナ残酷物語-』(紀伊國屋ホール)

作・演出/つかこうへい。

大分市つかこうへい劇団で上演したもの(もう10年も前なのか…)に思い入れがあり、私の中で大切な一作となっているだけに、改訂も加わっている現在のバージョンを観るのは躊躇われたのですが、ふうりんさんにお誘いいただき、思い切って行くことにしました。

「一人で生きていける女に、『君はボクが一緒にいなきゃだめだ』と、たぶらかしてくれるのが、男っていうもんだろうが」
「踏ん張れば、殺さずにすんだんじゃないですか」
「なあに、一人は慣れています。今までも一人でしたし、これからも一人です」


かなり改訂は加わっていますが、『熱海殺人事件』ならではの、『売春捜査官』ならではの台詞をきくと気持ちが高ぶります。
〈愛しさと切なさと心強さと〉〈愛が止まらない〉のナンバーも健在で嬉しかった。
この2曲は売春捜査官には欠かせない!
家でもMD探し出して聴き返しました。

おふざけや傷の抉りあい、その先にある真実と真意――。
人と人との対峙をこういう風に描けるつかこうへいはすごい。

黒谷友香の伝兵衛、凛々しさ一途さ、美しさと狂気、女伝兵衛にあって欲しいものをきっちり備えていました。とにかく表情がいい!

今のバージョンは、国家機密などの要素が入り話が膨らんでいるため、昔ほど「今、義理と人情は女がやっております」の台詞が効いていないのが残念(この台詞で幕を切るところが好きだったので)。
これはテーマがシフトしたということで、仕方ないのかな。
でも最後のチャオ万平の場は蛇足。
プログラムについていた戯曲には、この場はないんですよね。なんで付け足したんだろう…。

売春捜査官―熱海殺人事件
つか こうへい / メディアファクトリー
ISBN : 4889913726




〈7月16日鑑賞〉
by yagikuro-3 | 2006-07-26 01:18 | 舞台
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