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俳優座劇場プロデュース公演『家族の写真』

作=ナジェージダ・プトゥーシキナ/訳=大森雅子、演出=鵜山 仁

古風で快適なアパートの一室。ターニャは年老いた母ソフィアと二人暮らし。体の具合の良くないソフィアは、自分が死ぬまでにターニャが結婚して幸せな生活を送れるようにと願っていた。
ある日、若い恋人の家と間違えた中年の男イーゴリが、バラの花束とシャンパンを持ってやって来る。母親の願いを叶えようと、ターニャは思わず小さな嘘をついてしまうが…。
嘘と誤解が重なって膨らんでいき真実が生まれる。擬似家族に流れる本物の情。
ハートウオーミング系な作品のようでいながら、妙にクセのある作品でした。イギリスやアメリカの喜劇にありそうな設定ですが、流れている空気が違うというか。活気があるというロシア現代劇の力を感じました。

娘が母親を思ってついた嘘が生んだ物語というよりも、娘に夫や子どもをと願う母親の執念ともいえるパワーが生んだ物語という気がします。
エンディング、〈家族の写真〉をとって幕という形できれいにまとまるのに、あえて母親の言葉(願い)がまた具現化されるのか?と思わせるノックの音で終わらせるのもそういう狙いなのかなと。随所に観られる強引さを感じる展開も計算なのかもしれません(執念のパワーがこの家族を生むのですから)。お母さん、どんどん寿命が延びていくし(笑)。

アパートの一室のみで展開する話ですが、盆を生かした装置、照明がセンスよく、作品を締めてました。



〈キャスト〉
ソフィア・イヴァーノヴナ…中村たつ(俳優座)、タチアーナ(ターニャ)…高田聖子(劇団☆新感線)、イーゴリ…石田圭祐(文学座)、ジーナ…川口 桂(俳優座)
by yagikuro-3 | 2005-06-11 12:05 | 舞台
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