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七月大歌舞伎『NINAGAWA 十二夜』

歌舞伎+蜷川演出。美しく華やかな十二夜でした。
奇をてらわない、原作に忠実な翻案(脚本:今井豊茂)で、さほど歌舞伎に詳しくない私も素直に楽しめました。
“忠実な翻案”とはいえ、舞台を日本に移す、歌舞伎の様式を踏まえる、などかなり苦労があったと思います。シェイクスピアには言葉遊びもつきものですし。

ところどころに使われるチェンバロの音色が、歌舞伎の舞台と不思議とマッチしていてここちよかったです。西洋と東洋の古典の融合ですね。

鏡をつかった装置(美術:金井勇一郎)、空間的な広がりを感じました。「外見と真実」「演技と本心」というテーマとも重なります。花道が見えやすくなるという副産物もあって嬉しかった(私、3階席だったので)。
『十二夜』を観るたび、マルヴォーリオのエピソードが「可哀相すぎ…」と思ってしまうのですが、今回は丸尾坊太夫のキャラクターと菊五郎さんの演技がカラッとしていたので、そう感じずにすみました。
琵琶姫(ヴァイオラ)と双子の兄の主膳之助(セバスチャン)は、菊之助さんが二役で演じていました。歌舞伎ならではの早替りが楽しめるうえ、「兄妹が瓜ふたつなことが原因で、誤解が生じ事件が巻き起こる」という設定に説得力を感じます。通常、女優さん男優さんそれぞれ別々に演じるヴァイオラ・セバスチャン兄弟に、「どうみたって別人やろ!」といつも心の中で突っ込んでいたので(あ、もちろん「それは言っちゃあいけないお約束」って承知してますf^^)。

菊之助さん、可憐で美しいです。「男装している姫」という中性的な魅力をしっかり感じました。
松緑さんの安藤英竹(サー・アンドルー)、笑わせてもらいました。もう動きからして怪しくておかしい(笑)。

来月は串田和美演出の『法界坊』を観ます。これも楽しみ。
by yagikuro-3 | 2005-07-20 19:35 | 舞台
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